今回は、ちゃんと知りたい!シリーズ第三弾ということで、ジュニアNISAについて紹介します。
ジュニアNISAの説明に入る前に、そもそも「NISAとは?」という方は、第一弾・第二弾でご紹介したNISAおよびつみたてNISAの過去の記事をご覧ください。
NISA・つみたてNISA・ジュニアNISAすべてに共通するメリットである、”非課税”のメリットをご理解頂いてから、今回の記事をお読み頂くと、理解がスムーズに進みますよ。
ジュニアNISAのターゲットは?
ジュニアNISAとは、ジュニア という名称がついているように、子供のための制度です。
子供というふうに書いたけども、想定としているターゲットは大学生に行く予定のお子様・そして、子供たちを大学に行かせる予定のパパ・ママたちです。
私も二人の子供がいますが、高校卒業後に社会に出るといった明確な予定がない限りは、多くの人が子どもたちを大学に行かせる予定かと思います。
そういう意味では、高校生までのお子様&ご両親をターゲットにした制度であるといえます。
ジュニアNISAはどんな制度?
金融庁のホームページによると、ジュニアNISAは次のように説明されています。
ジュニアNISAとは、2016年度から始まった未成年者を対象とした少額投資非課税制度です。未成年者(0~19歳)を対象に、年間80万円分の非課税投資枠が設定され、株式・投資信託等の配当・譲渡益等が非課税対象となります。
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/junior/overview/index.html
ジュニアNISAの利用枠は年間80万円までで、最大5年間となっています。
なおジュニアNISAは2019年3月現時点において、2023年に制度が終了する予定です。(恒久化するのか、はたまた子供版のつみたてNISAのようなものを作る予定なのか、現時点では不明です)
いろんな証券会社のホームページには、同じような階段上のイラストはあるものの、こんなふうに使うのがよいといったケーススタディがないので、自分なりに考えてみました。
ジュニアNISAの活用例
- とあるパパが2019年に、5歳の子供のジュニアNISA口座で買った50万円分の株がある。
- 8年後、中学生1年生になったタイミングで倍の100万円になった。
- 一方、ここまで緩やかに景気が良くなってきたものの、そろそろ景気がピークを迎えている気がする。
上記のケースを考えてみましょう。
このケースでは、株価が倍になったタイミングでお子さんが現在中学1年生。
もっともお金がかかる大学入学まで、あと5年ほどとなります。
「5年あれば景気は回復する」という見方もある一方で、「5年後に景気が回復している保証はない」という見方もできますね。
一旦売却して利益を確定しておくのもよいでしょう。
通常20%かかる税金がかからないので、増えた分の売却益50万円がまるまる利益となります。
或いは、継続経理勘定 で保有したままにする、という選択肢もあるかもしれません。
配当に対しても引き続き税金が発生しないというメリットを享受できます。
※ジュニアNISAは2023年までしか買い付けができないので、2024年以降、それまでに購入した商品は継続経理勘定、という口座に移管され、20歳になるまで非課税で保有し続けることができます。
大事なのは、大学入学に備えて、時間をかけてゆっくりでも資金の準備を行っておくことです。
なお、いつ引き出しても非課税である大人用のNISAやつみたてNISAと違い、ジュニアNISAは原則、非課税で引き出しできるのが高校3年生の元旦以降となります。
まさに、学業において一番お金がかかるタイミングですね。
売却などのタイミングは自由ですが、非課税の恩恵を受けたいのであれば大学入試のタイミングまで待ってね、ということです。
引き出すことが全くできないというわけではなく、もし期限を待たずに引き出すときには、本来かかるはずの(+かかるはずだった)税金を払ってもらいますよ、という仕組みになっています。
ジュニアNISAのメリット
ジュニアNISAのメリットは、売却益・そして配当金ともに非課税であるということです。
安心して長期保有ができる商品をえらべば、20歳になるまで非課税で保有できるというメリットは大きいです。
ジュニアNISAのデメリット
元本保証の学資保険と違い、投資なので元本割れをするリスクは発生します。
そして他のNISA商品と同様に、損益通算や損益繰越といった制度が利用できないのも、デメリットといえます。
しかし、「18歳の春」というターゲットを見据え、目先の景気の動向に惑わされることなく長い目で投資できれば、”時間”という大きな資産を見方につけることができます。
たとえお子様のジュニアNISAを積み立て始めた直後に不景気が訪れたとしても、そこでしっかりいい商品を安く購入しておくことができれば、中学生~高校生になったタイミングで、安く仕込んだ商品が大きなリターンをもたらしてくれる可能性が高いです。
ジュニアNISAと学資保険の比較
私は学資保険には入っていません。
というのは、以下のような理由からです。
- ■私が仕事も含め、普段の生活で命の危険にさらされる場面がほとんどない
- ■会社が従業員にかけている保険も比較的手厚い
- ■共働き世帯で、最悪私が死んでも、妻にも正社員としての稼ぎがある
一方、共働きが増えてきたとはいえ、収入の大半がパパから発生しているというご家庭もあるでしょう。
さらに、仕事が私のようなオフィスワークではなく、たとえば長距離移動が多い、危険な場所での作業を伴うなど、リスクが高い仕事を行っている方も多くいらっしゃいます。
保険というのは、その保険を利用する可能性が高い場合ほど、加入する意味が出てきます。
そのため、リスクが高く、かつ収入の源泉が特定の誰かに集中しているご家庭の場合には、ジュニアNISAでさらにリスクを負うのではなく、学資保険という選択肢を優先したほうがいいかもしれません。
ジュニアNISAで学費・教育費に備える
私は子どもたちの貯蓄の一部に対して、ジュニアNISAを使って投資を行っています。
- 毎月2万円を夫婦それぞれ、子どもたちの口座に入金
- 子ども手当も同様に、一切手を付けず子どもたちの口座に入金
ざっくり計算ですが、18歳までの間に積み立てられる金額は下記の通りです。
2万円/月×2人(夫婦)×18年(216ヶ月)
+
1.5万円×3年(36ヶ月・3歳までの児童手当)
+
1万円×12年(144ヶ月・4歳から中学生までの児童手当)
=1062万円+α(お年玉なども、いまのところは全額貯金)
このうち、私が入金する2万円×18年を、投資の対象としています。
計算すると432万円、割合にすると約41%となります。
私立の医学部にいきたいという話になると足りませんが(おおよそ6年間で2000万円ほどかかるらしいです!)、理系の私立でも入学から卒業まで540万円ほどらしいので、困ることはないという見立てです。
なお、月間2万円なので年間でも24万円と、ジュニアNISAの80万円の枠を大きく余らせることになります。
これについては、あくまで教育費というある程度の安全性が求められる資金なので、必ずしも枠を使い切らなくてよいと割り切っています。
ジュニアNISAのリスク管理
多くの方が、ジュニアNISAの使いみちとして想定するのは、教育資金・大学の学費でしょう。
超低金利の時代に銀行に預けてもほんの僅かしかお金は増えません。物価があがれば、現金で資産を保有したままというのは、相対的に資産が目減りすることを許すことになってしまいます。
一方で教育資金・学費という大事な資産なので、ハイリスク・ハイリターンな商品への投資はおすすめしません。
投資では一般的に、時間や地域の分散が大事だと言われますが、それらのセオリーを活かして、堅実な投資を目指してみてるのはいかがでしょうか。
ジュニアNISAでのおすすめ商品は?
ジュニアNISAでの商品選びに際して、意識して頂きたいポイントがあります。
地域の分散
地域の分散とは、日本だけでなく、より広い地域へ投資を分散することで、地政学的なリスクを軽減するということです。
たとえば、日本だけを対象とした商品に投資したとしましょう。
無事に子供が大学に合格。ジュニアNISAで積み立てていた商品を売却して現金化を考えていた矢先に、東京を大地震が襲ったとします。
多くの企業が打撃を受け、日本企業の株価は軒並み下落。せっかく積み立ててきたお金が含み損になってしまうというのは避けたいですよね。
その点、世界やアジアといった広いエリアを対象にしている商品を選んでおけば、仮に特定の国が天災や不景気に襲われても、そのダメージを小さくできるのです。
時間の分散
こちらは、商品選びではなく、買付タイミングについて意識すべきポイントです。
時間の分散というのは、特定のタイミングで一気に予算を投下しない、ということです。
プロでさえ、この先の世界の経済を先読みするのは難しいです。
でも「景気と不景気を繰り返しながらも、世界はより豊かになっていくと思うか」という問いには、多くの人がYESと答えるのではないでしょうか。
毎月、あるいは毎年一定の金額を積み上げていけば、高いときに多く買ってしまうリスクを軽減し、同時に安いときに多く仕込むチャンスが広がると考えられます。
我が家がジュニアNISAで積み立てている商品
最後に、私が現在積み立てている商品をご紹介します。
個別銘柄ではなく、投資信託の毎月積み立てを行うことで、時間の分散と地域の分散を図るようにしています。
アメリカの株価指数であるS&P500に連動した投資信託です。
世界をリードするアメリカのトップ企業500に投資ができる商品となっています。
日本を除く先進主要国に分散投資する投資信託です。
アメリカ全体に投資するような、投資信託である。筆者の場合は、これからもアメリカが世界のリーダーであろうと見ており、最初にかかげたS&P500連動の投資信託とあわせてに厚めに投資を行っています。
まとめ:大学入学に備えてジュニアNISAを賢く使おう
ジュニアNISAという取り組みは、国が進める「貯蓄から投資へ」を推し進めるための制度です。
適切にリスクを管理しながら運用すれば、子どもたちにより豊かな教育を受けさせるための資金を効率的に用意ことができる可能性があります。
もしいま「貯金しかしていない」ということであれば、一度ご夫婦で話し合ってみてはいかがでしょうか。
今回もご覧いただき、ありがとうございました。
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